DAY6ーPART1
運否天賦


ドイツ到着から6日目。決勝日をむかえました。

成田で飛行機に乗る前から始まって、話と違うことばっかりでしたが、それもやっとクリア。ここまで来たらあとはレースをやるしかねえ! 行けるところまで行って
散るのもまたレース!

いや、散ったらダメなんですが(笑)。

当たるも八卦当たらぬも八卦。全力を尽くした後は、なるようにしかならないのがレースというもんです。遊びに行ったS耐最終戦では多くの人に「よくあんな体制で完走したね」といわれましたが、ここからが本番ですよ。ニヤリ。

ドライバーチェンジの予定もこんな紙に手書き(笑)

前日残してきたメカさんたちの心配をしながら、サーキットに向かう車の中でヴィッツ組全員で
ドライバーチェンジの相談。今さらかいと思われても、時間がなかったんだから仕方ありません。

本来はチーフメカニックやエンジニアが決めることなんだけど、みんな同じ金額を持ち寄って参戦しているので、ドライバー全員が、可能な限り納得できるようにしないといけません。

とりあえずみんなマシンが
壊れる前に走っておきたいということで(笑)、スタートから1時間ずつ、4時間で全員が乗ることはスンナリ決定。ロスはあるけど、これがプライベーターのやり方でもあります。

一番危ないスタートはもちろんオレ。元気いっぱいの藤岡さん、通訳でちょっとお疲れ気味の岸本さんとつないで、夜担当のK氏にはできるだけ休んでもらう作戦です。これまでもずっと移動で大変だったしねえ。万全の体調で乗ってもらうのはチームのためでも本人のためでもあります。

しかし、ご存知の通りこれまでドライバーごとの燃費を計ったりしてる余裕はどこにもなし。たぶん1時間半は行けるだろうという想定のもとで、最初のスティントだけ1時間〜その後は1スティント1時間半を基準に、ガス欠ギリギリまで引っ張る作戦です。

24時間レースで大切なのはゴールまで行くこと。1秒かせぐためにリスクを冒してリタイヤというのは絶対に許されません。もちろん1秒が10秒でも1分でも同じことです。特に今の状況を考えると、攻めるとかレースをするというのは絶対無理。待って待って待ちまくって、24時間後に生き残っていることが、唯一の可能性です。

「今回のレースはとにかく待つしかない。途中での遅れは全く気にしないで自分のペースを守ること。速いチームは壊れていくから、生き残るのが入賞への近道だと思ってください。この作戦が正しいのがわかるのはスタートから20時間経ってからだから、それまではガマンして待ちの作戦をやってほしい。」ということだけ、岸本さんと藤岡さんには説明しました。

あーなんかエースドライバーみたい。


さて! レース前の記憶はあまり残っていませんので、さっさと行きましょう! 上の写真はコースインするアルテッツァ。中谷さんがしっかりと映像をおさえています(笑)。」

このコースインがまたすごかったんだ。アナウンスは全部ドイツ語だからワケわかんないし、人がいっぱいでもうどーにもなりませんぜ。

そういえばコースイン直前、もうレーシングスーツに着替えてピットにいたら、あるドイツ人が遊びに来ました。名前はBubmann Jugen。ボブマン・ユーゲンさんでいいのかな。

聞くところによると、去年はドバイでYARISのレースをやっていたそうで、今回のレースではウチのライバルでもあるSuzukiSwiftGTIという名の
カルタスに乗っているそうな。その彼が「もし来年も参戦するなら乗せて欲しい。今回のレースでも困ったことがあったら言ってくれ」と親切にも声をかけてきてくれました。

飛んで火にいる夏の虫! いや、表現が悪いな。鴨が葱しょってやってきた! うーん、まあいいでしょう。レギュレーションを把握し切れていないところに、英語ペラペラのドイツ人が来たからさあ大変(笑)! その場で確保して、レギュレーションについて聞き倒しましたよ。

しまいに上の紙を見せて「ウチの作戦はコレなんだけど、レギュレーションに引っかからないか」という質問まで。ライバルとはいえ1周1分は違うから全く問題なし!


ボブマンさん こっちにもねーちゃんくれ!

そしたらこともあろうに「1スティントの
最大運転時間は2時。ひとり1回乗ったら、2時間は乗れないよ。」などとのたまうではありませんか!

ぬあにー! ってことは夜にオレとK氏の
二人体制になったとき、少なくとも1回はK氏に2時間走ってもらわなきゃいけないじゃん! オレ2時間以上(ガス欠するまで)+K氏1時間くらい×2ローテーションで夜を乗り切る作戦がスタート前にジ・エンド!

予選でオレより
1周ピー分遅かったK氏に、そこまでの負担を強いる展開になるとは完全に予想外。さらに夜中ではクラッシュで終了という可能性すらあります。

予選2回目のことです。K氏のあとにオレが乗ってる最中に無線が入りました。
T橋さん「今どのへんですか〜(メインストレートに来たくらいの時間に呼びかける)」
クラゴン「オールドコースに入りました〜」

というくらいオレとK氏では速さが違います。

1周走って、グランプリコース1周ぶんの差ってことかな。別にK氏のスキルを云々してるわけじゃなくて、普通の人がニュルを走るというのはこういうことなんです。常にぶっつけ本番選手権のオレと比べないでください(笑)。

しかも長時間走ってもらわないといけないとなると…。


そうそういちおう説明なんだけど、レースの内容を詳細に伝えるために、どうしても速さやスキルの描写が必要です。先方に迷惑をかけないために敢えてイニシャルにしてますんで、みなさんよろしく。





本邦初後悔、じゃなくて初公開の
IN CAR 静止画! 今までの編集ソフトが静止画を取り込めなくて、別のソフトを使ってやっとできるようになりました。こういう機能を追加してるからレポートが遅くなるんだな。

どっちもピットロードの写真のはずなのに、人ばっかりでどこだかよくわかりません。左手で押しているのは無線のボタン。「このあとの進行を教えてくれ〜」と無線で助けを求めていますが、
もちろん誰もわかりません。

観客をかきわけ1コーナーへ GPコースを1周して最終コーナーからグリッドにつきます やっとの思いでグリッドへ

よくわからないながらも何とかコースを1周してグリッドへ。そしたら今度はグリッドがどこだかわかんなくて。230台を3つのグループに分けるから、ただタイムの順ってわけでもないんですよ。確かイエローグループだったかな。

どこだ〜

グリッドに出たら出たでやっぱり人がいっぱい。どこだ〜!


いた! オレンジのゼッケンがT橋さんです。

もーちょいもーちょい イテ! とか言ったりして(笑)

あーやっとグリッドについた。


グリッドについてオレはカメラを外して
グリッド上で撮影を敢行! 常に仕事は忘れません(笑)。結果に期待できないぶん、できるだけ多くのことを記録して持って帰らないとね。


日本チーム、しかもドイツでも走っているヤリスということもあってか、観客のオッサンからよくサインを求められました。

しかも必ず
「ジャパニーズプリーズ」といわれます。日本語で書いてくれってことね。もちろんしっかりとクラゴン部屋親方 クラゴンとサインしてあげましたよ。「ディスイズ、ジャパニーズトラディショナルワード、KATAKANA」って説明してあげたら「Oh! Great!」ってすげー喜んでました。

「何でこのヤリスは
右ハンドルなんだ?」っていう質問もけっこう多くて、そのたびに「ウイートランスポート、フロムジャパン。ソー、スピリットイズディファレントフロムユアヤリス!」なんていうとまた喜ぶんだ(笑)。「Spirit!?」。「スピリットイズKIAIインジャパニーズ」「Oh! KIAI!!!」ってカンジで(笑)。

訳すと「日本から運んだヤリスは
気合が入ってるから右ハンドルなんだ!」「スピリットを日本語に訳すと気合っていうんだぜ!」というところでしょうか。どう考えてもアホです(笑)。今度行くときはOTOKOを広めましょう。

バレーボールで東洋の魔女になっちゃうくらいなんだから、西洋人の東洋や日本に対する畏敬の念は相当なもんです。だったら期待に応えるのがプロドライバーってもんでしょう。レース、特にフォーミュラでは、とかくヨーロッパナイズされたドライバーがいいといわれていますが、向こうが持ってるイメージを上手く使うのもひとつの手だと思うんだけどねえ。

個性がないと面白くないじゃん。


やっぱり人がいっぱいです スタートドライバなのにカメラを回すオレにあきれるみんな(笑)
ここまで来たぜ! 緑ゼッケンはいつもお世話になっているニューズ出版のさかいさんとかんのさん
この雑然としたステッカーはどうよ(笑)?
トップページに使ってる写真です

このグリッド上で、岸本さんはこれまでの道のりを思い出し、
ウルウルきてたそうです。

車検を通って、予選を通って、ホントによくここまで来たもんだ!

前日といわず徹夜しまくりのメカさんたちのおかげですよ。これから24時間レースなのに、徹夜明けのハイな状態です。


外国ならでは(?)、ボディペインティングの集団まで出撃! ここまで塗っちゃうとどうかと思うんですが。日本だったらかなりマズイことになるのに、ニュルは絵になるから不思議です。

あと、撮り損ねたのが、マシンの上にキャンギャルを陳列したまんまグリッドに整列したチーム! 「うしろからねーちゃん載せたのが来てますよ」というT橋さんと、「え? マヂ? どこどこ?」となぜか執拗に探し求めるオレの姿はスポンサー特典の動画限定で(笑)。

このへんはホントに
お祭りです。


乗せてくれ(笑) インテR
なんとEG6! もちろん現地のチームです 日本大好きってカンジがいいね。
同じピットのフレパーモータースポーツ なんとクラス優勝!
1台だけのRX−8
ライバルのミニ! レースでも首洗って待ってろよ! いや、待っててください。
これも一台だけのアコード シビックRが多いね。
グリッドにつくテッツァ テッツァ組の前嶋さん、山下さん、吉田さん、メカニックの丸田さんです

アルファロメオやBMWが目立つニュルで、日本車、特にホンダの存在が際立ってましたねえ。安くて速いクルマは万国共通ですな。

アルテッツァはヨーロッパにはなくて、メーカーや排気量から聞かれていたそうです。

EG6は趣味の世界でしょ(笑)。

そして忘れちゃいけない日本チーム。

大井さんとデカトーさん いや〜スペアパーツないんですよ
スポンサーのステッカーがいっぱいのスイフト(笑) 秘密兵器のニキ・シェレさん

みなさんご存知D−Rightsの大井さんが率いる、D−Rights Racing with TOYO tires。同じ日本チームのはずなんだけど、こっちにはメカニックがいっぱいいるし、ホスピタリティはあるし、あまりの違いに遊びに行くたびに
ショックを受けてました(笑)。

ドライバーは大井さん、レブスピードのサトウ編集長、デカトーさん、超協力助っ人のニキ・シェレさん。ウチと同じくラジアルタイヤでのチャレンジで
見事クラス優勝! さすがです。

ニュル攻略にあたり、D−Rightsのオフィスに
突然押しかけては車載を見せてもらったり、アドバイスをもらったり、多大なご協力をいただきました。



こっちはジャーナリストとしても有名な清水和夫選手が率いるインプレッサ。車両製作&メンテはS耐デビューしたばかりのオレに
オトコを見せてくれたスーパーテクノです。またレースやりましょー!


日本チームじゃないけど
NSX。やっぱりカッコイイな〜。この時点では、十勝で乗ることになるとは思ってません(笑)。


にゃんと
MR−2が! しかもライトがスターウオーズのC3POの眼みたいでナイス。どこにも変わった人っているんですね。優秀な国産車のあるドイツで日本車を使うのは変態も同然です。


そろそろレースに戻りましょう。


ベルトを締めるのを手伝ってくれるT橋さん。親切だ〜ウルウル。


ビデオ片手に中谷さんが乱入! この映像は中谷さんのホームページで見られます。今気付いたけど、前にいるのは
CJ型のミラージュだったりして。


グリッドはアルテッツァとの差がこれしかなかったんですよ〜。予選がんばったでしょ。

日本と同じく、ローリング開始10分前に観客が退去とか、開始5分前にメカニック退去とか、スタート進行をやってるはずなんですが、いかんせん
ドイツ語がわからないので、どうなってるかわかりません。とりあえず、みんながエンジンかけたらエンジンスタートで。


スタート進行開始と同時に大雨が!


あーあ、こんなに雨降ってどーすんだよ。ローリング開始までにはこの有様です。


大雨の中ローリング開始!

といういいところでパート2へ。



この調子で書いてたら、とんでもない量になりそう。



DAY6−PART2