2002年 ホンダワンメイク エントリーシリーズ第3戦

開催日  2002年 7月14日   
開催地  スポーランドSUGO
車両   280 エモンNTC DL VTEC EK
参加台数 8台   出走台数 8台 

激戦の末に今季初優勝!!  7月14日、ホンダワンメイクエントリーシリーズ(旧シビック東北シリーズ)第3戦がスポーツランドSUGOで開催された。マシンの不調から復活したクラゴンがレース序盤から猛プッシュ。ラスト2周で接触しながらもトップだったbT8をオーバーテイクし、シリーズ参戦3戦目にして初優勝を飾った。シリーズ1位だったbT8がリタイヤに終わったため、2位以下に大差をつけてのシリーズ1位に浮上した。
第3戦の舞台はスポーツランドSUGO。気温も路面温度も第2戦とほぼ同じ、酷暑の週末になった。前レースからの変更点は、不調の原因と思われたフロントダンパーをオーバーホールしたこと。これで問題だったアンダーステアは完全に解消。逆にオーバーステア対策を施さなければならないほどだった。

リアのセッティングを微調整しマシンバランスはほぼ完璧に。ラップタイムも1分38秒3でトップ。気温による走行条件の悪さを考えると、4月の開幕戦から1秒落ちというのは悪くないタイムだろう。一方、ここまで2連勝でシリーズランキング1位のbT8は不調で、ベストタイムは1分38秒9。アンダーステアが消えず、タイヤの消耗も激しいようであまりタイムを伸ばせずにいる。
7月14日 予選

予選開始は11時30分。早朝に降った雨はすっかり上がり、路面は完全にドライ。しかし、湿度が高い中でどこまでタイムを伸ばせるか。ターゲットタイムは1分37秒台。マシンに厳しい夏にこのタイムを出せば、コンディションの良くなる冬には確実にコースレコードを更新することが出来る。
アタック1周目はレコードライン上をスロー走行するマシンにひっかかり1分38秒43。2周目は途中で失敗したためタイムアタックを中断。3周目に、この週末のベストタイムとなる1分38秒085をマークした。ところが、bT8のタイムは前日から1秒アップの1分37秒940。その差はわずか0.1秒ながらクラゴンは2位に終わる。
   
クラゴン「今回はちょっと失敗。新品にしたブレーキのフィーリングがなかなか合わなくて、わずかに攻め切れませんでした。それさえなければ確実にポールポジションを獲れていただけに、悔しい2位です。でも、58号車のほうは、1周は良くてもレースと同じ距離をテストしてませんから、レースでは圧倒的にこっちが有利です。序盤からガンガン攻めていきますよ。」


 
 クラゴンは、テストとはいえシビックで初のトップタイムをマークし、予選4位だった第2戦から一転、絶好調。あとは、テスト終了後にセッティングを大幅に変えたbT8がどこまでタイムを短縮するかだった。

7月14日 決勝
 
決勝の作戦はとにかくbT8にプレッシャーをかけること。気温が高いのを利用し、タイヤを消耗させるようなレース展開に持ち込む作戦だ。
そしてスタート。1台フライングした以外はポジションキープ。いつもの安定したレースになるかに見えたが、バックストレートエンドの「馬の背コーナー」でクラゴンがbT8をパス!1周目をトップで通過した。本人のコメント通り攻めの走りだ。しかし、2周目の第4コーナーでbT8がクラゴンをプッシング。クラゴンはハーフスピンし2位に転落した。なんとかマシンを立て直してポジションキープ。再びbT8に襲い掛かる。クラゴンの予想外の攻勢に焦ったのかbT8のペースはまったく上がらず、後続集団に追いつかれトップ集団は5台に。と、クラゴンはここで作戦を変更。bT8にわざと仕掛けないようにして、まず後続車を引き離し、レース後半になってから一騎打ちを挑む構えだ。
 
中盤は順位変わらず。bT8はあいかわらず焦って、過剰なブロッキングをしているが、意に介さず3位以下の集団を離していく。この間にもメインストレート、バックストレートで並びかけるポーズを見せるが、これはフェイント。8周目、トップ2台が抜け出したのを見て、クラゴンが満を持して攻撃開始。ストレートでイン側を押さえるbT8を、大胆に第1コーナーアウトから仕掛ける!ここでbT8がアウトに幅寄せし、2台が接触。余裕を見せてクラゴンが引いた。2台が並んでコーナーに入った場合はイン、アウトにかかわらず自分の走行するラインをキープするのがルール。これは非常にアンフェアで危険なブロッキングだ。続く9周目、クラゴンがこのレースで初めて第4コーナーでインを突く!ストレートで抜くように見せていたのは、勝負をかける第4コーナーで油断させるためだった。bT8はあわててインを締めるがそこにはクラゴンがいる。ここで両車は接触!bT8はハーフスピンしクラゴンが並びかける。ここでハーフスピンから立ち直ったbT8が、並んだクラゴンに向けてハンドルを切り、また接触。前に出たのは…クラゴンだ!タイヤが曲がったフェンダーに当たり煙を出しているが、残りは1周半。このまま走り切る。
後続集団を離す作戦が功を奏し1位でゴール。文字通りの激戦を征してシビックレース初優勝を飾った。bT8は接触のダメージからピットに戻りリタイヤ。クラゴンは初優勝とともにシリーズ1位にも浮上した。
クラゴンのコメント

「おかげさまで初優勝です!皆様応援ありがとうございました。何よりも今回は、調子の悪かったマシンが復活したのが嬉しいです。ここまで仕上げてくれた本郷監督にはお礼を言いたいですね。調子が良かっただけに、もっとスマートに勝ちたかったんですけど、なかなかそうも行きませんでした。予選で前に出て逃げれば良かっただけの話ですから、まだまだ頑張らないといけません。でもプレッシャーをかけるのも、第4コーナーで抜くのも予定通り。レース展開は完璧にコントロール出来ました。ファステストラップも獲ったし。これでもいちおう最年少なんですが(笑)。bT8の佐々木選手がリタイヤしたので、これで一気にシリーズ1位に浮上です。あと2戦、さらに気を引き締めて行きますので、よろしくお願いします。」