クラゴン部屋

御法度


サーキットを走るドライバーのためにルールがあるように、サーキットを走るクルマ作りにもルールがあります。自分のためにはもちろん、他のドライバーを危険な目にあわせないためにも、最低限の知識を持ってチューニングを進めて行きましょう!

クラゴン部屋で実際に指摘した内容もありますが、あくまでもサーキットを走る上での常識的な内容として、すでに持っていた知識です。事前に指摘された人はラッキーだと思ってください。

タイヤ

御法度
アルミホイールナットは全損
アルミの熱膨張は鉄の倍くらいだそうです。そんなモノをブレーキの熱がガンガン伝わるホイールを止めるのに使ったらどうなるか。ポロ〜ンと外れるわけですよ。クラゴン部屋でもこれまで何人か外れた人がいます。タイムを追求するレーシングカーだって鉄チンナットだからね。
前後異銘柄は全損

FFのアンダーステアを嫌って、フロントにハイグリップ、リアにストリート用など、違うタイヤを使ってはいけません。タイヤの構造が違えば挙動も違うし、タイヤの温まりも違う。雨が降ったら、リアタイヤだけハイドロプレーニングが起きるという、上級者向けのプレイをすることになるぞ! Sタイヤとラジアルの組み合わせなどもってのほか! 危ないからやめてね。
前後タイヤの幅は20mm以内

FFならフロントのグリップを上げたいし、後輪駆動ならリアのグリップを上げて、トラクションを上げたい。そんなときは幅の広いものにすればいいのだ。ただし、大きく変えればバランスは崩れるので、純正が205mm幅だったら、FFならフロント225mm/リア205、同じくFR車だったら、フロント205mm/リア225mm程度にしておくべし。10mm差でも効果が出るはずです。同じ扁平率でも幅を大きく変えたら、外形も変わってしまうのだ。

前後タイヤ外形に差があると全損

ABS付きの車種で前後外形の違うタイヤを履くと、回転数差からABSがロックしていると認識して、ブレーキを解除してしまうことがあります。いや、解除します。だってそういう機能なんだから。サーキットがどうこういう以前に、ABSが介入する全ての急ブレーキでノーブレーキになるので、絶対に禁止! 駆動輪のタイヤが減れば外形も変わるから、新品のとき大丈夫だからといって安心しないこと。まずドレスアップ優先で選ばない。量販店の店員にまかせない(もちろん知ってる人もいるとは思うけど)、カタログで確認するなど、ドライバーの責任として管理しておくべし! もちろんある程度の差は許容するので、メーカーに問い合わせてもいいかも。じゃあ「ABSカットすればいいんだ」なんていう低レベルの話はナシでひとつよろしく。

みんな知ってる超有名ドライバーがクラッシュした理由として、実際に何件かあります。

ローテーションはあとまわし(サーキット限定)

S2000、RX−7など、サーキットを考えると、リアタイヤを太くすることでアドバンテージを得られるクルマがある。そういうクルマで、ローテーションのために前後同じ幅のタイヤにするなど完全にナンセンス。(F215mm/R235mmがベストなのに、前後225mmにしてみたり)。サーキット用のサスやGTウイングをつけて、ローテーションを気にしているようじゃ、いつまでたってもタイムは出ないぜ! 高い費用をかかてクルマを買って、維持して、チューニングして、タイヤ代をケチるんじゃ意味ないでしょ。そもそもリアを太くしてメリットがあるなら、仕事量も多いリアが先に減るんだから、リア2回に対してフロント1回の交換でバランスはとれるんじゃないの?

無意味に低い空気圧は全損

タイヤには適正な空気圧がある。安全圏は温感(走行後)で2.2〜2.4kg。冷感(走行前)で1.8〜2.0kgくらいかな。タイヤによっても違うのでみなさん研究してください。低目がいいからといって、1.5kgとか(例えばね)でスタートしたりすると、スタンディングウエーブで構造が壊れて、バーストするよ。

サスペンション

御法度
サーキットだからといって硬くするべからず

とりあえず減衰を最強にしちゃう人は多いけど、サーキットだからといって硬くすればいいとは限らない。20段中の下3段しか使い物にならないダメダンパーや、5段階中の最弱でも硬い恐怖のダンパーは実在するのだ(笑)。ダンパーとスプリングの仕事は、あくまでちょうど良くクルマを支えること。先入観にとらわれず、いろいろ試してみませう。

取り付けには要注意

節約のために自分で取り付けるのはいいが、壊れれば自分だけでなく他人も危険な目にあわせることになる。2万円や3万円の工賃で安全が変えるなら安いもんでしょ。サス交換をしたら、必ずアライメントを調整すること! 車高が変わったら、トーもキャンバーもぜんぶバラバラです。

アライメントは取り扱い禁止

アライメント計測には専門の機器が必要で、調整にはガレージ独自のノウハウがある。ハッキリ言って、素人が手を出してはいけない領域なので、おとなしくプロに頼むこと。形として見えないものだけに、何万円も払うのは気合がいるけど、板金代よりは安い!

ブレーキ

御法度
ワケのわからんモノを使うべからず

安いもの、高くてもダメなものは板金代に直結! 好みはあるとして、実績のあるブランドのものを使うのが安全です。雑誌の広告に出てたってダメなのはダメだから。

ドリフトパッドは使うべからず

ドリフトパッドはリアの効きをよくして、サイドブレーキを引いた状態にして、ドリフトを誘発します。旋回ブレーキなんかやった日にゃ完全にスピンするので、ドリフトする人以外は使用禁止。

高いフルードだからといって長く使うべからず

ブレーキフルードは循環しないので、キャリパーのオイルはずっと温度変化にさらされて劣化します。高いからといって持ちがいいとか、半年交換しなくてもいうムシのいい話はそうそうありません。そんなもんがあったらレーシングカーでみんな使ってるんだから。ムシのいい話を信じるのは自由ですが、ブレーキが効かないときのリスクは自分で負うことになりますぜ。

安全を考えれば、1度サーキットを走ったら、キャリパー内のオイルを抜くイメージでドバッと交換してしまいましょう。信頼できるオイルブランドのDOT4なら銘柄はなんでもいいです。S耐だってDOT4だよ。


クラゴン親方自身が経験し危険だと感じた内容を、弟子のみなさんに知っていただくことで、少しでもサーキットを楽しんでもらうための内容です。幸い全てのケースで一度のクラッシュもしていませんが、クラゴン親方のドライビングスキルによって回避したり、ただの運で回避したりしたこともあります。5速全開のNSXでタイヤバーストとかシャレになんないよねえ(笑)。

みなさんが直面したときには、間違いなくクラッシュにつながることばかりですので、参考にしてください。




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