クラゴン部屋


クラゴン部屋をはじめて約1年半。

このところ弟子のみなさんの成長が早いと思ってはいたんですが、クラゴン部屋withVTECSPORTS、富士フルコース稽古の富士連戦で頭角を現した弟子が出てきました(笑)。

高速コースの富士でオトコなしはもちろん、「ティルケデザイン」といわれるテクニカルコースを簡単に攻略してしまいました。

富士のテクニカルさは、先が見えない&奥でキツイのダブルパンチで、視覚情報に頼って走るタイプのドライバーは全員アウチ。普段から「目線が近いぞ〜」と言われる人はコースアウトするか、ビビッてゆっくり走るかのどちらかでしょう。特に難しいとか危ないというわけじゃないんだけど、筑波がホームコースなんて人はイチコロです。

実際他の走行会参加者のみなさんはイチコロにされてました(笑)。

ウワサのテクニカル区間

先が見えない原因がこの写真の高低差。写真ではわかりづらいけど、走行距離に対する登り度合いはかなり大きいです。

そこんとこいくと、クラゴン部屋の弟子は全く素人っぽくなかったなあ。走行前指南が良かったのはあるにしても(爆)、サーキットの走り方をわかってきたカンジがします。

クラゴン部屋でいつも言っているのは、
オトコにならないこと。スピンはともかく、コースアウトやクラッシュするような攻め方は絶対にNGです。

なんでNGかというと、まず壊せば金がかかります。しかも金をかけて良くなるわけじゃなくて、
ベストで現状復帰。直したところで「やっぱりちょっと違う」となりかねません。そんなことに金を使うんだったら、タイヤ代、ガソリン代、クラゴン部屋のエントリー代(爆)にしてもらうほうがいいのは当然でしょ。

しかもその当日だけでなく、修理が終わるまで走れません。もともと練習時間のとれないモータースポーツで、わざわざ貴重な練習の機会を無くすのはもったいないです。腕を落とさないために移動中にも楽器を弾く音楽家だっているそうだし。

クラッシュするまで攻めていいのはワークスドライバーだけ。レースでもプライベーターにはプライベーターのやり方があるし、趣味で楽しむ人にはそれ以上に自分に合ったやり方を考える必要があるはずです。

だからクラゴン部屋では絶対に無理をさせません。無理をして得ることよりも、クラッシュして失うことの方が多いから。自分のペースでステップアップしていくほうが、1年先、2年先のスキルアップは大きいし、実際に准中伝の弟子はみんなそうです。

ついでにタイヤは
ラジアル推奨。クルマに負担のかかるSタイヤは長期的に見て金がかかります。いくらタイヤ単体の値段があまり変わらなくても、ブッシュ、デフ、ショック、駆動系、全てに負担がかかるし、ボディなんてヘタッたから交換ってわけにはいかないでしょ?

それに限界が低ければコントロールの幅が広がる、速度が遅ければクラッシュしたときのダメージも少ない、いいことばっかりですよ。もちろんオレもマイカーはラジアル+ノーマルサスでサーキットを走っちゃいます。

確かにタイムを出したい人にはSタイヤがいいです。Sタイヤでもクルマを維持する資金的な余裕があって、Sタイヤのグリップ感がいい、ラジアルだと安心して走れないという人はSタイヤでいいと思います。

ただしSタイヤで腕を磨こうと思うのは、自分でハードルを上げることになります。速いぶんコントロールは難しいし、維持費はかかるし、ドライビングが悪くてもタイヤのグリップでごまかしちゃうし(これが一番よくない)、全くオススメできません。ハイグリップを求めるならスリックにすればいいという話にもなるし。

クラゴン部屋で特に伸びている弟子はみんなラジアル仕様。Sタイヤの弟子は親方走見で「忘れていたことを思い出す」っていうタイプの人が多いかな。

限界域のシビアなハイグリップで、なおかつその限界を使い切る練習をしようというのはムシのいい話。だからタイムを出すか、腕を上げるか、自分の目的にあわせたモノを選びましょう。SタイヤユーザーにはSタイヤの使い方をキッチリ指南しますよ。


ついでに富士

成長している弟子に共通することは、
@自分のドライビングスキルを理解して無理をしない。
Aチューニングをしないでメンテナンス費用に当てている。
Bクラゴン部屋の基礎稽古に来る。


以上3点です。い〜ね〜。

@は最初は安全に、スキルが上がってきたらしっかり攻めるということ。Aはそのまんまだけど、余計な仕様変更をしないことでドライビングを煮詰められます。Bは筑波のタイムアップが目標だから筑波稽古に…というだけでなく、リンクみちのく巡業、入門稽古など、上達しながらも基本をおろそかにしなかった、ということがあります。

速いだけの人は走行会にもいますが、クラゴン部屋の弟子が大きなクラッシュをしないで、ここまでスキルアップを果たしたということは、ハッキリ言って
自慢です。


安全性を犠牲にしないで速くなるなんて最高のスキルアップだよなあ。


番付審査に「准」のつく資格を追加したのは、同じ資格(無資格)でも差が大きくなってきたからです。

初伝に受かったところで止まっている弟子がいる一方で、初伝資格取得後さらに鍛錬を積み、中伝資格に匹敵するドライビングを身に着けつつある弟子もいます。かと思えば、番付審査は未受験ながら初伝クラスの弟子もいるわけで、このままじゃ番付のメリットが出にくくなります。

親方としては、中伝あたりからやっと手加減しないで教えられるレベルでもありますので、難易度の高い指南を受けたい人は稽古に精進してください。

これからは入門者向けの座学も増やして、初サーキットの人にも安心して楽しんでもらえるようにしていくつもりです。