2002年 ホンダワンメイクレース  エントリーシリーズ最終戦

開催日  2002年 11月10日   
開催地  スポーツランドSUGO
車両   280 エモンNTC DL VTEC EK
参加台数 7台   出走台数 7台 

シリーズチャンピオン獲得!! ホンダワンメイクレース・エントリーシリーズ(旧シビック東北シリーズ)初年度の最終戦はスポーツランドSUGO。土曜日夜に初雪に見舞われ、レース開催すら危ぶまれる波乱の展開となった。荒れたレースで強いのがクラゴン。予選では2位を2秒近く離すタイムでポールポジションを獲得。決勝は余裕の2位ゴールで、シリーズチャンピオンの座を掌中に収めた。シビックレースの歴史の中で、参戦1年目でのチャンピオン獲得は史上稀に見る快挙。名実ともに東北ナンバーワンの若手ドライバーとなった。


最終戦の舞台は今年3回目のスポーツランドSUGO。このレースで2位以上に入れば、シリーズ2位のbT8が優勝してもチャンピオンだ。ここまでの4戦を考えるとSUGOで2位に入るのは簡単とすら思えた。

サーキット側の都合で金曜の走行が中止になってしまったため、テストは土曜日のみ。それでも最初はマシンセットの確認、改修したコースの確認など、いつも通りのスケジュールで進んでいく。幸いマシンには大きな問題はなかったが、問題は気温。あまりに低くて、リアタイヤの温度が全く上がらないのだ。それでもマシンセットが良いというのは強みで、タイヤ温度を上げる作業に集中出来た。

通常、シビックのようなFF車ではフロントタイヤの消耗が激しいため、リアタイヤを意図的に減らせておくのだが、今回は逆。リアタイヤに、よりグリップの高いタイヤを使って、タイヤ温度が上がりやすいようにする作戦だ。その結果、1周のラップタイムではbT8と変わらなかったものの、マシンの挙動が安定していることからラップタイムの変動が少なく、レースでは明らかにこちらが有利。レースに向けて不利な要素はなかった。


この夜、仙台は観測史上最も早い初雪を記録した…。


11月10日 予選

 朝まで降った雪はサーキットをスキー場に変えてしまった。驚くべきは、それでも予選開始が時間通りだったこと。主催者が散水車をフルに稼動させて、コース上の雪を溶かしていた。こうなると難しいのはタイヤ選択。晴れているため、路面はところどころ乾いているが、路面温度は土曜日とは比較にならないほど低い。クラゴンは深溝タイヤを選択。水の量に惑わされず、タイヤ温度が上がる方を優先した。このタイヤ選択が的中し、予選開始から他のドライバーより4秒も速いタイムを連発。タイムアタックを3周で終了する余裕さえ見せ、2位のbQ0に1.75秒差の大差をつけポールポジションを獲得した。

クラゴン「最終戦でやっとポールポジションです。確かにタイヤは当たりましたが、深溝を使ったドライバーは他にもいましたし、難しいコンディションほどドライバーの差が出ますから。実はまだ余裕があって、周りがタイムを上げてきたらもう1アタック行くつもりでした。ポールポジションスタートだったら、スタートで大失敗しなければ順位をキープ出来ますから、シリーズチャンピオンに向けて一歩前進。決勝はミスにだけ気をつけて、いつも通り行きます。」


9月15日 決勝
 
 快晴のため路面が乾き、予選から一転、わずかに水が残っていたものの、決勝はほぼドライコンディションで行われた。ポールポジションのクラゴンに対して、シリーズ2位のbT8は3番手。後続とのタイム差から考えてレースのカギはスタート。スタートに注目が集まる。
 13時25分決勝スタート。残った水で濡れていた1番グリッドをものともせず、クラゴンは1位をキープ。スタートで順位を上げたのはbT8。クラゴンの真後ろに迫っている。そして第3戦でクラゴンとbT8が接触した因縁の第4コーナー。bT8がブレーキングでクラゴンのインへ飛び込む! ここでは意外なほどあっさりとインを空け、クラゴンは2位へ後退。1周目はbT8、クラゴン、bQ0の順で通過した。その後、3台は等間隔でレースを続け、7周目にクラゴンがファステストラップをマーク。そのままの順位でチェッカーフラッグを受けた。
クラゴンは2位ゴールでシリーズチャンピオンを獲得! シリーズ2位のbT8とはわずか1ポイント差だった。2002年の主な戦績は、優勝1回、ポールポジション1回、ファステストラップ3回、全戦表彰台。昨年のミラージュ東北シリーズチャンピオンに続き、カテゴリーをまたぐ2年連続チャンピオンという快挙を成し遂げた。                                 

クラゴンのコメント

「チャンピオン獲りました! シビックは東北で一番レベルの高いレースなので、1年目は難しいと思っていましたが、第3戦から上手く流れを変えられました。これも一度チャンピオンを経験している強みでしょう。前回のレースの教訓を活かし、土曜日のテストから先手を打ってマシンセットを変更したのが上手くいって、予選〜決勝と難しいコンディションの中、落ち着いてレースを進められました。今回も出来れば勝ちたかったんですが、無理しても意味がないので、決勝ではbT8の佐々木選手を前に出して、コースをチェックしてもらいながら走りました(笑)。予定通りファステストラップをマークし、今年もプレッシャーのかかる最終戦で思う通りにレースをコントロールすることが出来ました。去年の、速さを追及して獲ったチャンピオンに対して、今年は5戦中3戦ファステストラップが証明するように、レースの強さで獲ったチャンピオンです。
この結果は、トレーニングを指導して下さったディレクト・システム社の高岡先生、下瀬さん、VTECSPORTSの小倉編集長、メカニックの本郷さん、古沢さん、モータリングライターの藤田師匠、応援して下さった皆様のおかげです。ありがとうございました! 来年のスーパー耐久レース、インテグラワンメイクレース参戦に向けて活動を始めておりますので、来年もご支援よろしくお願いします!」