2002年 シビック東北シリーズ開幕戦

ファステストラップをマークし、2位入賞!  4月14日、2002年シビック東北シリーズ開幕戦がスポーツランドSUGOで開催された。昨年、ホンダがインテグラレースへの移行を突然発表したため、開幕戦のエントリーは大幅減少の8台。だが、台数の少なさを吹き飛ばす熱いトップ争いが展開された。 2001年ミラージュ東北シリーズチャンピオンを獲得し、活動の舞台をシビック東北に移したクラゴンは、シビックレースデビュー戦にして予選2位を獲得。決勝では、昨年最終戦でポールポジションを獲得したドライバーを、ファステストラップをマークしながら追いかけ回し、最後はリタイヤの危機を乗り越えながら大健闘の2位入賞を果たした。
念願のシビックレースにステップアップした今年。ミラージュはあまりにも古く、タイムが出る代物ではなかったため人に評価されにくいという状況が続いたが、もうそれも終わり。残念ながらエントリーは少ないが、去年までのドライバーとラップタイムを比較することで、台数に関係なく実力をアピールすることが出来る。
今年からエンジンコンピュータが替わり、最高回転数が9000回転から8600回転に引き下げられたことで、単純に今までのタイムと比較することは難しくなってしまったが、エンジンパワーを低くおさえられて去年のコースレコードである1分37秒フラットを越えられれば間違いなく速いはず。これが今回の目標だった。
 
土曜のテストでは1分37秒3をマークし、チームメイトであり唯一のライバルでもあるbT8の佐々木(2001年シビック最終戦でポールポジション)が1分37秒2で3番手に1秒以上の大差をつけ、いきなり去年のコースレコードにせまるタイムをマーク。この時点で週末は2人のレースになる気配が濃厚になった。しかし、コーナー立ち上がりでのアンダーステアが気になり、マシンセットを変えて対応するべきかドライビングを変えて対応するべきか判断に迷うという、開幕戦ならではの問題も出た。メカニックと相談したところ「長距離を走ってタイヤが消耗してもほとんどタイムが落ちない」という現在のメリットを活かすためにドライバーが対応するということで簡単に問題解決。予選でのコースレコードチャレンジに集中した。
4月14日 予選
予選開始は11時25分。予想よりも気温が上がり、コースレコードには厳しい状況になった。予選ではとにかく現在のマシンセッティングに合うドライビングを実践すること。
当初の予定ではウオームアップを2周、タイムアタックを2周の予定だったが、アタックに入る最終コーナーで予想以上にオーバーステアが出たため、この周は中止。もう1周タイヤを十分に暖めタイムアタックに入った。
1周目はシフトミスと、混走のスターレットに引っかかったのが原因で1分37秒96。勝負の2周目で今度はなんとスターレット並に遅いシビックに邪魔され、この周も同タイム。3周目には気温のせいかタイヤのグリップが急激に落ち1分38秒台前半。タイムアップは不可能と判断し予選を終了した。結果はbT8の1分37秒236に続く2番手。実力を出す前に予選を終了することになってしまった。3番手は1分38秒台中盤なので全く相手にはならないが、一番負けたくなかったbT8に大差をつけられることになった。しかし予選と決勝は別。タイヤの磨耗が少ないことから相手よりも有利な展開に持っていくことは十分可能だった。
4月14日 決勝
 
2002年SUGOビクトリーカップ開幕戦の最後を飾るメインイベント、シビックレース。決勝は10周で行われた。17時スタートという気温が下がる時間だったため、全車タイヤを入念にウオームアップしてスターティンググリッドに着く。クラゴンは路面の有利なアウト側スタート。全ての観客、メカニックが固唾を飲んでスタートを待つ。

レッドランプが点灯し呼応するかのようにエキゾーストノートが高まる。そしてグリーンランプ。飛び出したのはクラゴン!アウトからトップのbT8に並びかける。が、まだ時期尚早とばかりにアウトから一気にインに切り込んで後方集団を牽制。この一瞬の判断が明暗を分けた。第3コーナーで3位がスピンし、後方集団が大混乱する間にトップ2台が抜け出す。もしトップ争いに集中するあまり3位のドライバーに抜かれていたら、間違いなく巻き込まれていたことだろう。続くハイポイントコーナーでbT8のミスにつけこみ、早くも仕掛けるが順位は替わらず。1周目終了時点でトップ2台と3位以下との差は早くも2秒以上。やはり2人のマッチレースになった。

 予選のタイムが示すとおり序盤で速いbT8。しかし、なんとか引き離されずに追いすがる。1秒前後の差を保ったまま4周が経過し5周目、bT8のわずかなミスで差が一気に0.7秒、射程圏内に。これはチャンス!自己ベストタイムを連発しながらトップを追い詰め、6周目、7周目、8周目と1周ごとに確実にその差を縮めていく。9周目には予選タイムすら上回る1分37秒551。シビック東北シリーズ開幕戦のファステストラップとして記録されるタイムをマークした。最後の1周でトップとの間隔は約0.3秒。お互いわずかなミスも許されない状況でファイナルラップに入っていった。

 ここで悪夢が襲いかかる。スポーツランドSUGOで最もチャレンジングかつ危険なコーナーと言われる第3コーナーで、コーナリング中3速から4速にシフトアップする際にギアが入らなくなったのだ。が、ここでギアが抜けていてはトップに離されるどころか、マシンが不安定になりコースアウトの危険もある。なんとかギアを入れようとしたが入ったのは無常にも2速だった。一瞬にして許容回転数を大幅に超える回転数を示すタコメーター。その後半周はエンジンがブローしないようにエンジン回転数を下げ祈るだけだった。
幸いエンジンはゴールまで持ち、既に3位以下を大幅に引き離していたため、なんとか2位でゴール。優勝を逃したのは残念だが、レベルの高いことで有名なシビックレース初参戦にして2位入賞とファステストラップを獲得。実力をアピールするには十分な結果と言えよう。





                 −4−   
クラゴンのコメント
「最終ラップまでは予定通りだったのに、最後にミスしてしまいました。あれさえなければ、最終ラップのバックストレートエンドで仕掛けるつもりでしたが仕方ありません。去年、関係者の間で高い評価を受けていた佐々木選手が相手でしたが、レースでは明らかにこちらの方が速かったですね。予選も邪魔さえされなければ目標だった1分37秒フラットに近いタイムは出ていたはず。しかし、エンジンブローでリタイヤという可能性が高かったにもかかわらず、ゴールして2位と12ポイントを獲得したことは、今シーズンを考える上で非常に大きいしょう。第2戦の課題は、練習と予選で実力通りのタイムを出すこと。当然のことですね。予選では他のマシンに邪魔されましたが、そこでタイムアタックを止めて次の周にしても良かった。そこまで考えられなかったのは自分のミスでした。今回のレースで、シビックに合ったというか、今のマシンセッティングに合った乗り方が見つかったので、次は問題ありません。
シビック初挑戦にしていきなり2位表彰台&ファステストラップということでレース関係者以外の皆様からも予想以上の反響をいただいております。これは自分やメカニックが頑張っただけではなく、レーシングカート時代から現在までに培ったものが出た結果。自分が今までどれほど恵まれた環境でレースをやっていたかを再確認するレースでした。エンジンの修理代は頭が痛いですが、もちろん今年もチャンピオンを狙っていきますので、応援よろしくお願いします!現在、引き続きスポンサーを募集しておりますので、そちらもあわせてよろしくお願い致します。」