2011年最後のあいさつ | |
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人間とは本当に罪深いものです。 何がって、満足を知らないところが。便利な生活とか、おいしい食べ物とか、どこまで行ってもさらに欲望を満たさないと気が済まない。その欲望は留まるところを知りません。何といふ度し難い存在なのでせうか。 オレなんかその最たるモノで、2008年のトロフィーゲットでもうドライバーとしての仕事は終わりだと言ってるにも関わらず、去年はあのニュルでポルシェGT3にまで乗って人間を越えてしまい、さらに今年はSP7クラス準優勝という前人未到の結果まで出してしまいました。 世の中にはニュルのレースに出たい人ばっかりなのに、申し訳ないことですなぁ。いくら反省しても足りないので、自慢することにしております(笑)。 これも応援していただいたみなさんのおかげ、トレーニングを指導していただいた運動総研のみなさんのおかげ、そして正しいトレーニングに取り組んだオレのおかげ。さすがオレ。違う。10年もかかりましたが、この結果ならご容赦いただけるのではないでしょうか。 強調しておくべきは、少なくともニュルに行き始めてから、オレが遅かったことがないってことでしょう。 1年に10レースもあれば、1回や2回、人によっては半分くらいはダメなレースかもしれません。オレはその中の1〜2回だけ出て、平気で1年ぶりだったり、そもそもそのクルマに乗ったことがなかったり、それで常に速い。スランプが一度もないわけです。 まあ普通に考えたら意味不明です。日本のレース業界ではオレはいないことになってるのも、わかるというもんですのう。ふふふのふ。 でも正直に言うと、今年の結果は自分の力の及ぶ範囲ではなかったかなと。 ちょっとの上達とか、ちょっとの運とかのレベルでは無理です。ニュルの最速クラスに07式ポルシェで表彰台は100%無理。100回やったら100回無理です。 まずひとつは復金で多くの方にお力をいただいて、必要不可欠なことをできたこと。今思えば、ありゃ間接的には完全にオレのためです。あの緊急時に人の力になれなくてレースなんてちゃんちゃらおかしい。ドライビングだとかニュルが楽しいとか、そんなもん後回しですよ。 2011年のニュル24時間が欠けているのは、人として誇るべきことだと思います。オレはね。 みなさんその節は本当にありがとうございました。お礼もちゃんとできていませんが、何せニュルDVDもまだでして。どっちもすいません。復金に関しては何かご要望があれば催促してください。 そんな経緯もありつつ突然決まったのがVLN6時間レースの話です。 オレ自身も震災直後から次の段階に入ったと思った時期でもあったし、応援団のみなさんにいただいた応援コメントを見返してみても、時期が来たといえるタイミングだったといえると思います。みんなもう「イイ話」を欲しがっちゃってますな(笑)。やっぱり人間は楽しいことがないと生きていけないんですよ。 24時間をパスしたのが宇宙の意思なら、ここで話がまとまったのも宇宙の意思。だから勝負権のないマシンで勝負ができるコンディションになったのも、完全に宇宙の意思でしょう。 レースの結果は不思議なもので、どれだけ奇跡的な展開に見えても、絶対にその資格があるドライバーに与えられるもんだと思っております。2010年のフェッテルみたいに。 オレ個人にはSP7準優勝ほどの資格はない。自分で言うのもアレですが、シビックあたりでブイブイ言わしてるレベルです。ニュルならそれだってエライコッチャですが。それがここまで来たのは、欲しがり屋さんのみなさんの気合いが届いて、代表してオレがごっつあんすることになったんではないでしょうかね。 そういえば3月にはドイツから心配メールが何通も来てたんだよね。一番の恩返しは、例年以上に完全にブッ殺して日本は健在である、と見せて差し上げることでしょう。その意味ではオレも気合いは入っていました。 それにオレがめずらしく遅けりゃ「やっぱりいろいろ大変だろうしな」という話になってしまうので、日本人がナメられる。それだけはあってはイカンことです。大変なのはホントだったけど、だからこそ絶対にそう見られてはイカンのです。 そんな今回のオレと組むことになっちゃったカプート君は、そらもう交通事故に遭ったようなもんです(笑)。ツーリストのコソ錬から尋常じゃない踏みだったし。スマン。 それにしても、みなさんの後押しでこうなったってことは、あの大雨ハイドロプレイもみなさんのせいってことになりますな。オレだけひどいめに遭ってるのも納得いかないので、責任を取って2012年もぜひ応援団に御入団ください(爆)。 まだ何乗るか決めてないけど。はっはっは。 クラゴン部屋としては、なかなか厳しい年でした・・・と言いたいところですが、2011年の収支を計算してないから問題ナッシング。 金の問題ならもっとマシな仕事やってるわな。オトコは媚びず退かず顧みず。これだけ好き放題やってちゃんとプラスにはなってんだから、もういいべさ。 オレもすいぶん好き勝手やってきたし、ドライバーとしての実績も過分にもらいました。そろそろ人のためにやってもいいかなと。 後半はバリバリでまだ年が明けないくらいだし、アレ場所もやったし、大変は大変だったけど、十二分にリカバリーはした。あの状況で大丈夫なら何とでもなるわな(笑)。もちろん来て下さる弟子のみなさんあってのことです。みなさんが鍛錬に来て下さる限り、クラゴン部屋はどこまでも不退転です。 原発のせいで東日本がアレしても西日本があるし、日本全部がダメならこれ幸いとニュルに行っちまえばいい。不退転ってのは勝ち目がなくてもやるってことじゃなくて、目的に対して臨機応変かつ千変万化で不退転です。 人が生きていく以上、遊びは必ず必要です。栄養さえ取っていれば点滴でもいいということにはならないのと同じです。何があってもクルマ好きがいなくなるわけじゃあない。その意味では自信ついたな。 最後に鼎談の素晴らしい内容をちょっとだけお借りして、アレしましょうか。 モーターレーシングは確かに地球に負荷をかける。ついでに手間もかかるし金もかかるし、趣味としてやるにはここまでハードルが高いこともないでしょう。 なんだけど、モーターレーシングほど自分を向上させるものもありません。 オレならニュルのレース。弟子のみなさんならクラゴン部屋でしょう。オレだってもう30歳半ばのおぢさんだし、弟子のみなさんの中には同年代の方も多いけど、40代、50代の方も多いです。 この歳になって、人間として何か上達することがあるか。 ゴルフとかテニスとか、いろいろあるだろうけど、基本的には自分の体力でできる範囲から出ることはないはずです。 だけどモーターレーシングは違う。クルマという増幅器は、自分の枠の中に収めるにはあまりに巨大です。その巨大な装置を何とかするには、自分が変わらなきゃいけません。そこでクルマに上達させられてしまうんですよ。けっこう強制的に(笑)。この際その流れに乗ってしまいましょう。 そして鼎談にもあるように上達するように取り組まないといけません。身体の使い方がよくなって、楽しくなって、仕事にもより高いモチベーションで臨める。タイムが出なくてどよーんなんて、絶対にしちゃいけないんですよ。そんなんじゃ地球に申し訳ないと思いましょう。 そして上達してクルマのコントロールをできるようになると、はじめて真のドライビングプレジャーを感じられます。 クラゴン部屋に定期的にお越しのみなさんは、このいい循環で行けてると思います。あんまり会社をサボるのはアレですが(笑)。でも遊ぶために稼ぐんだから、仕事が忙しくて遊べないのは本末転倒です。と偉そうに言う仕事が遊びのオレ。 まあこんなこと書かなくてもみんな楽しそうなんですが(笑)。 どうせ死ぬまでは生きてくしかないんだから、楽しく上達し続けて行こうじゃありませんか。 生きていれば何でもできる。迷わず行けば上達もできる。上達は人間だけの特権です。これぞ人間賛歌! そして人間賛歌は勇気の賛歌! 人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!! 来年も勇気を持ってアレして行きましょう!! |
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1年間応援ありがとうございました! 2012年もよろしく!! 2012年もみなさんとオレにいいことがありますように。
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